DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
門の脇にある欅の大木の一番高いところに立ち、千聖は黙って米村の屋敷を見下ろした。
未央に話しを聞いてからじっくりと調べ上げ、計画を立てた。
後はいつものようにそれを確実に実行するだけだ。
時間は夜の九時。
一杯飲んだ後食事をして、テレビで野球などを見ながらくつろぐ頃。
余り遅い時間より、こんな時間の方がかえって仕事がしやすかったりする。
「米村さん。悪いが【プリンセス・スノーホワイト】は頂くよ」
呟いて革の手袋をはめる。
そして小型の釣り竿のような物を取り出し、千聖は今自分が立っているのとほぼ同じ高さにある米村の屋敷の風見鶏を目掛けてそれを鋭く振った。
そこから繰り出された紐状の物がまっすぐに飛び、風見鶏の足下の十字になった部分にクルクルと絡み付く。
それがピンと張られると、千聖は空中にフワリと身を躍らせた。
ワイヤーの下を滑るように屋敷に向かう。
あっという間に一階の屋根に差し掛かりベランダに舞い降りた。
観音開きの窓は十センチほど開いていた。
センサーなどがついていない事を確かめて窓を開ける。
「見掛けより重いな。防弾ガラスか。無防備に見えて、見えない所に手を掛けてる―― って事だな」
少し目を細めて呟き、窓が閉まらないように金属片を噛ませて固定してから中に入る。
急に足下に気配を感じて視線を落とす――
フワフワの白い毛の猫が、驚いたように突然の侵入者をじっと見上げていた。
「こんばんわ、お嬢さん。こんな時間にレディの部屋を訪ねる失礼をお許しください」
千聖は床に片膝を付き、猫を抱き上げその額にくちづけた。
「もしかして君も白雪姫かい?」
プラチナのチェーンで出来た首輪をした猫を優しく撫でて、そっと下に降ろす。
「ニャァアォン……」
猫は千聖を気に入ったようで、ゴロゴロと喉を鳴らし足に身体を擦り付けた。
未央に話しを聞いてからじっくりと調べ上げ、計画を立てた。
後はいつものようにそれを確実に実行するだけだ。
時間は夜の九時。
一杯飲んだ後食事をして、テレビで野球などを見ながらくつろぐ頃。
余り遅い時間より、こんな時間の方がかえって仕事がしやすかったりする。
「米村さん。悪いが【プリンセス・スノーホワイト】は頂くよ」
呟いて革の手袋をはめる。
そして小型の釣り竿のような物を取り出し、千聖は今自分が立っているのとほぼ同じ高さにある米村の屋敷の風見鶏を目掛けてそれを鋭く振った。
そこから繰り出された紐状の物がまっすぐに飛び、風見鶏の足下の十字になった部分にクルクルと絡み付く。
それがピンと張られると、千聖は空中にフワリと身を躍らせた。
ワイヤーの下を滑るように屋敷に向かう。
あっという間に一階の屋根に差し掛かりベランダに舞い降りた。
観音開きの窓は十センチほど開いていた。
センサーなどがついていない事を確かめて窓を開ける。
「見掛けより重いな。防弾ガラスか。無防備に見えて、見えない所に手を掛けてる―― って事だな」
少し目を細めて呟き、窓が閉まらないように金属片を噛ませて固定してから中に入る。
急に足下に気配を感じて視線を落とす――
フワフワの白い毛の猫が、驚いたように突然の侵入者をじっと見上げていた。
「こんばんわ、お嬢さん。こんな時間にレディの部屋を訪ねる失礼をお許しください」
千聖は床に片膝を付き、猫を抱き上げその額にくちづけた。
「もしかして君も白雪姫かい?」
プラチナのチェーンで出来た首輪をした猫を優しく撫でて、そっと下に降ろす。
「ニャァアォン……」
猫は千聖を気に入ったようで、ゴロゴロと喉を鳴らし足に身体を擦り付けた。