DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
コツコツと靴音が遠離る。
やがてそれが聞こえなくなると、途端にビー玉を追い掛けて床を走り回っていた猫がふと動きを止めた。
耳をピクピクと動かし、穴に近付く。
そして、そこから現れた顔に向かってニャンと鳴いた。
「やあ、プレゼント気に入ってくれたみたいだね」
もう一度鳴いて、微笑んだ千聖にすり寄る。
千聖は穴から這い出すと、猫を抱き上げ喉をコチョコチョと撫でた。
「今夜は君に会えて良かったよ。おかげで【プリンセス・スノーホワイト】が手に入った。面白い話も聞けたしね」
猫に向かって微笑みながらベルトと穴の蓋の部分を繋いでいた細いワイヤーを外し、千聖はポケットからまた数個のビー玉を取り出した。
カードと一緒にドアの前に置く。
「これはほんのお礼だよ。これでいっぱい遊んでおくれ」
床へ降ろされた猫は、宝石のような瞳を輝かせてそれを見つめた。
「じゃあ、俺はもう行くよ」
もう一度頭を撫でて、窓からベランダに出る。
身軽に大屋根に登ると、千聖はここへ来た時と同じように米村邸を後にした。
その直後、廊下をバタバタと走る音が聞こえてきた。
千聖を見送っていた猫がドアの方に顔を向ける。
足音の主はドアの前に止まると、勢いよくドアを開けた。
「奴はいったい何処に行ったんだ !? 確かに落ちたはずなのに、怪我一つしなかったというのか。おまけに石を持ってあの穴から消えるなんて!」
米村が文句を言いながらそのままの勢いで部屋に入る。
一緒にいた神部は、床をチラリと見て入り口の所で足を止めた。
「米村――」
「何だ!あっ――!うわぁああ」
やがてそれが聞こえなくなると、途端にビー玉を追い掛けて床を走り回っていた猫がふと動きを止めた。
耳をピクピクと動かし、穴に近付く。
そして、そこから現れた顔に向かってニャンと鳴いた。
「やあ、プレゼント気に入ってくれたみたいだね」
もう一度鳴いて、微笑んだ千聖にすり寄る。
千聖は穴から這い出すと、猫を抱き上げ喉をコチョコチョと撫でた。
「今夜は君に会えて良かったよ。おかげで【プリンセス・スノーホワイト】が手に入った。面白い話も聞けたしね」
猫に向かって微笑みながらベルトと穴の蓋の部分を繋いでいた細いワイヤーを外し、千聖はポケットからまた数個のビー玉を取り出した。
カードと一緒にドアの前に置く。
「これはほんのお礼だよ。これでいっぱい遊んでおくれ」
床へ降ろされた猫は、宝石のような瞳を輝かせてそれを見つめた。
「じゃあ、俺はもう行くよ」
もう一度頭を撫でて、窓からベランダに出る。
身軽に大屋根に登ると、千聖はここへ来た時と同じように米村邸を後にした。
その直後、廊下をバタバタと走る音が聞こえてきた。
千聖を見送っていた猫がドアの方に顔を向ける。
足音の主はドアの前に止まると、勢いよくドアを開けた。
「奴はいったい何処に行ったんだ !? 確かに落ちたはずなのに、怪我一つしなかったというのか。おまけに石を持ってあの穴から消えるなんて!」
米村が文句を言いながらそのままの勢いで部屋に入る。
一緒にいた神部は、床をチラリと見て入り口の所で足を止めた。
「米村――」
「何だ!あっ――!うわぁああ」