DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
「何やってるんだ!」

 ソファーに仰向けに転がっていた千聖は急いで跳ね起きて駆け寄り、未央を抱え上げた。

「ちょっ !? なにす――」

 驚いて声を上げた未央を無視してそのままバスルームへ駆け込み、ミルクをかぶった未央の左足にジーンズの上からシャワーの水を掛ける。

 五分近く水を掛け続けて、千聖はやっとホッと息を吐いた。

「ジーンズ脱げ」

「え?」

「ゆっくりでいいから」

 未央を促しながら、自分もびしょびしょになったジーンズを脱ぐ。

 途端に未央は真っ赤になって顔を背けた。

「―― 脱ぐの?これ」

「そうだ。そう言っただろ?」

「でも……」

 ジーンズを洗面所の洗濯機に放り込み、白いワイシャツと下着一枚の千聖は続けた。

「自分で脱げないのなら、脱がせてやろうか?」

「て……」

 下を向いてモジモジしている未央の考えている事が分かり、千聖は笑いを漏らした。

「火傷の手当、しなきゃならないだろう?心配するな。それ以外のことなんか考えちゃいないよ。今、バスタオル持って来てやるから」

 千聖は一旦部屋に戻ると、新しいジーンズを穿いてバスタオルを持って来た。

 それからジーンズを脱いでタオルを腰に巻いた未央をもう一度抱え上げ、ソファーに座らせた。

 左膝の下から足の裏にかけて真っ赤になっている。

 手を触れると、未央はピクッと身体を縮めた。

「痛いか?」

 薬を塗りながら千聖が訊いた。

「うん……少しピリピリする」

「運悪くジーパンだったから、酷くなったんだ。でも大した事ないからこうしておけば大丈夫だろう」

「ありがとう、千聖。心配掛けちゃったね、私ドジだから」

「あんたのドジは、最初に会った時から分かってるよ」

 少し肩を竦めてから、千聖は小さな声で続けた。

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