DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
「では、まずコンクールに出品されるドレスを、それぞれの出品者の控え室に運んでいただきます」
話し終わった飯田の手によって、コンクール出品のドレスを保管した部屋の鍵が開けられる。
この中にあのドレスがある。
未央はいつもそうであるように、もうすぐ標的を確認すると思うと胸がドキドキした。
促されて部屋に入る――
中にはドレスを着たボディが所狭しと並んでいたが、裕子の物はすぐに見付かった。
「標的確認……」
未央は小さく呟いた。
事前にデザイン画を見ていたからで無く、本当に祐子のドレスは目立っていた。
その証拠に、同時に部屋に入った女の子達の殆どが祐子のドレスの周囲に集まって来た。
「わぁ可愛い!」
「童話のお姫様みたいね」
「いいなぁ……私もこんなの着たいな」
コンクールの審査はプロのデザイナー以外にも、会場に招待された結婚を控えた女性も加わる。
祐子のドレスはほぼ間違いなく、良いところまで行きそうだと未央は感じていた。
いや、もしかしら何かしらの賞を取るかもしれなかった。
(絶対に回収しなくちゃ)
未央はもう一度心に固く誓った。
ドレスに付けられたナンバーは二十五番。
このホテルの三十周年を記念して行われるコンクールに出品される三十着のうちの、後ろから五番目だ。
「では、みなさん。ドレスを控え室に運んでください。なお、ドアは盗難防止のため自動ロックになっています。中に忘れ物をしないようにね」
飯田の声に、全員が一着ずつドレスを手にした。
未央はみんなが運びたがっている標的のドレスを横目に、一つ後の二十六番のドレスを持ち、控え室へと向かった。
途中、二十五番の控え室の前でドレスを持ち直すふりをして立ち止まり、開いていたドアの辺りに一瞬手を触れた。
そのまま二十六の札の部屋に行き、中にドレスを入れる。
二十五番のドレスも運び込まれる。
そのドアが閉められたのを確認して、未央はフッと微笑んだ。
話し終わった飯田の手によって、コンクール出品のドレスを保管した部屋の鍵が開けられる。
この中にあのドレスがある。
未央はいつもそうであるように、もうすぐ標的を確認すると思うと胸がドキドキした。
促されて部屋に入る――
中にはドレスを着たボディが所狭しと並んでいたが、裕子の物はすぐに見付かった。
「標的確認……」
未央は小さく呟いた。
事前にデザイン画を見ていたからで無く、本当に祐子のドレスは目立っていた。
その証拠に、同時に部屋に入った女の子達の殆どが祐子のドレスの周囲に集まって来た。
「わぁ可愛い!」
「童話のお姫様みたいね」
「いいなぁ……私もこんなの着たいな」
コンクールの審査はプロのデザイナー以外にも、会場に招待された結婚を控えた女性も加わる。
祐子のドレスはほぼ間違いなく、良いところまで行きそうだと未央は感じていた。
いや、もしかしら何かしらの賞を取るかもしれなかった。
(絶対に回収しなくちゃ)
未央はもう一度心に固く誓った。
ドレスに付けられたナンバーは二十五番。
このホテルの三十周年を記念して行われるコンクールに出品される三十着のうちの、後ろから五番目だ。
「では、みなさん。ドレスを控え室に運んでください。なお、ドアは盗難防止のため自動ロックになっています。中に忘れ物をしないようにね」
飯田の声に、全員が一着ずつドレスを手にした。
未央はみんなが運びたがっている標的のドレスを横目に、一つ後の二十六番のドレスを持ち、控え室へと向かった。
途中、二十五番の控え室の前でドレスを持ち直すふりをして立ち止まり、開いていたドアの辺りに一瞬手を触れた。
そのまま二十六の札の部屋に行き、中にドレスを入れる。
二十五番のドレスも運び込まれる。
そのドアが閉められたのを確認して、未央はフッと微笑んだ。