DOUBLE STEAL ~イシヲモツモノ~
 言いかけた響をよそに未央は「じゃあ、私帰るから。駅、すぐそこだから送らなくていいわ。今日は楽しかったわ、ありがとう。それじゃまた学校でね」と、止める間も無く手を振って行ってしまった。

 途端にヒュウッと音を立てて、風が吹いたような気がした。

「なんで……いつもこうなるんだよ!」

 思わず足下のコーヒーの缶を蹴飛ばす。

 空き缶はフワリと舞い上がるとすぐ傍の木の幹にぶつかり、そしてカツーンと音を立てて跳ね返って見事に響の頭に命中した。

「痛ぇえっっっ!」

 響は頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。



…☆…
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