Faylay~しあわせの魔法
精霊たちは次々にやってきてリディルを取り囲む。

《リディル、おかしいよ》

《うん、おかしいよ》

《世界が、おかしいよ》

精霊たちは口々にそう言う。

「うん……おかしいね」

キラキラと降り注ぐ朝日に目を細めながら、リディルは頷く。

澄み渡る青空も、優しく吹き渡る風も、輝く太陽の光も、いつもとなんら変わらないものだ。

けれど、どこか。

暗く……翳っている。

それがどうしてなのか、リディルにも、この小さな精霊たちにも分かってはいなかった。分かれば、きちんとセルティア王に報告も出来たのに……。


軽く溜息をついて歩いていくと、前方に賑やかな人だかりが出来ていた。

城門を出てすぐのところにある、円形の広場の中心で、街の人たちや兵士が赤髪の少年を取り囲んでいたのだ。

「本当に素晴らしかった! 我々が一月かかっても鎮められなかった魔族を、たったの3日で!」

兵士の声に、民衆がワア、と沸いた。

「さすがはフェイレイ殿。我がセルティアが誇る『英雄』だ」

「え、いや、それほどでも。兵士の皆さんの助けがあったからです」

兵士たちに誉めそやされ、真っ正直に照れ笑いをしているのはフェイレイ。

「なんと謙虚な方だ」

「あんなにお強いのに」
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