Faylay~しあわせの魔法
「兄ちゃん、カワイイ彼女連れてるねぇ~! どう? ひとつ、彼女に買ってやったら?」

露店主はリディルにパチンとウインクしながら──黒いサングラスをかけているので見えなかったが──フェイレイに言った。

「え、か、彼女!?」

そんな風に見えるのかと嬉しくなり口元を緩めたが、リディルの視線に気付いて慌てて首を振った。

「いや、違います、彼女ではありません!」

「えー、そうなの? お似合いなのにぃ」

「いや……えへへ。はい、違います」

お似合いと言われてちょっと嬉しくなりながらも否定する。

その横で、リディルはそっと視線を落とした。ちょうど視界に映った、黒い布の上に並べられた色とりどりのアクセサリーたちにさっと目を走らせる。

それに目ざとく気付いた露天主。

「あれっ、ホラ! 彼女さん、何か欲しいんじゃない? ね?」

「えっ? いえ、私は……」

リディルは首を振ろうとしたが、その前にフェイレイが反応した。

「リディル、何か欲しいの? なら買ってあげるよ?」

「ううん、別に、いらない……」

「彼女さん、遠慮しちゃ駄目よ~! こういうときは買ってもらっちゃいなよ~!」

「うん、リディル、どれがいい?」

露店主とフェイレイ、2人揃って笑顔でリディルを見る。

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