Faylay~しあわせの魔法
「でも、フェイはお金貯めてるんでしょ?」

「これくらいいいよー。そういえば、リディルに何か買ってあげたことってないよなー」

と、フェイレイは座り込んでアクセサリーを眺める。

すかさず露店主は売り込みに入り、その勧められた中でフェイレイが気に入ったのはシルバーのピンキーリングだった。

ペアリングなのだが、十字架が掘られていて、女性用には真ん中に翡翠の石がはめ込まれていた。

何より気に入ったのは、約束を誓い合うときにつけるリングだというところだ。

「これにします!」

露店で買うには少々張る値段を見てリディルは止めたが、フェイレイは「これがいい」と押し切ってしまった。


リディルにはその場で左手の小指にはめてやり、自分のは戦闘の邪魔になるからというと、露店主が銀の鎖をサービスしてくれたので、それに通して首から下げた。

「……いいの?」

人込みを抜け、細い路地の緩やかな坂道を登りながらリディルは訊いた。

「うん、いいの。俺があげたいの」

と、指輪をはめてやった方の手を取る。

これが結婚式ならなあ、なんて妄想に走りかけながら、指輪をはめたリディルの指と、自分の小指を絡めた。

子供の頃からずっとそうしてきたように、こうして約束を誓い合う。


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