Faylay~しあわせの魔法
「俺は、何があってもリディルを護ります。……絶対に」

微かに笑みを浮かべてはいるものの、どこか強い決意を秘めた瞳に、リディルは訝しげに首を傾げた。

「フェイ?」

そう、名前を呼ばれた瞬間。

色んな想いが駆け巡り、小指を絡めたままリディルを抱き寄せた。



昨日ヴァンガードから聞いた話が、ずっと頭から離れなかった。

もし、そうなら。

いや、そうでなくとも。

「絶対、護る」

リディルの肩に顔を埋めてそう言うフェイレイに、リディルは戸惑った。

それは幾度となく伝えられてきた言葉だったけれども、そのどれよりもずしりと重く心に響いた。

「……フェイ?」

戸惑いの声は、きつく抱きしめられることでかき消される。



潮騒の音が響く路地裏は、橙に染まりだした太陽の光に淡く照らされていた。

優しい風が吹き抜ける、その遥か彼方から。

ジリジリと、暗雲が迫ってきていた。




< 106 / 798 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop