Faylay~しあわせの魔法
「それより、リディルちゃんの顔をよく見たい!」
「ちょっと、前のヤツ、頭邪魔だよ!」
わあわあと喚く民衆たちにリディルが微かに眉を顰めたのに気付き、フェイレイはパッと両手を突き出した。
「はい、そこまで!」
フェイレイの大声は広場に隅々にまで響き渡り、民衆たちの騒ぎはピタリと収まった。
「あ、あのさ。俺たち、任務を終えたばかりで疲れてるからさ……。ギルドに帰るね」
にこやかにそう言うフェイレイに、兵士や民衆たちもハッとしたように頷いた。
「そうでしょうとも。あの激務のあとですからな。気付かずに失礼した」
「気をつけてお帰りくださいね」
民衆たちの声に、フェイレイはまたしてもにっこりと微笑んだ。
「はい、ありがとうございます! 何かあったらまた駆けつけるから、いつでも呼んでください!」
それじゃ、と元気に手を振りながら歩き出し、見事に民衆の群れから抜け出すことに成功した。
両側に民家が建ち並ぶ、煉瓦敷きの通りを歩きながら、リディルはそっと息をつく。
「……ごめんね?」
「え?」
何のことか、フェイレイは一瞬だけ考えて、すぐに笑顔を作った。どうやら、苦手な人込みから連れ出してくれて感謝している、ということらしい。
「違う、違う。そういうときは、“ありがとう”、だろ?」
「……そうだね。ありがとう」
微かにリディルの桜色の唇がたわむのを見て、フェイレイは満足そうに微笑む。
「ちょっと、前のヤツ、頭邪魔だよ!」
わあわあと喚く民衆たちにリディルが微かに眉を顰めたのに気付き、フェイレイはパッと両手を突き出した。
「はい、そこまで!」
フェイレイの大声は広場に隅々にまで響き渡り、民衆たちの騒ぎはピタリと収まった。
「あ、あのさ。俺たち、任務を終えたばかりで疲れてるからさ……。ギルドに帰るね」
にこやかにそう言うフェイレイに、兵士や民衆たちもハッとしたように頷いた。
「そうでしょうとも。あの激務のあとですからな。気付かずに失礼した」
「気をつけてお帰りくださいね」
民衆たちの声に、フェイレイはまたしてもにっこりと微笑んだ。
「はい、ありがとうございます! 何かあったらまた駆けつけるから、いつでも呼んでください!」
それじゃ、と元気に手を振りながら歩き出し、見事に民衆の群れから抜け出すことに成功した。
両側に民家が建ち並ぶ、煉瓦敷きの通りを歩きながら、リディルはそっと息をつく。
「……ごめんね?」
「え?」
何のことか、フェイレイは一瞬だけ考えて、すぐに笑顔を作った。どうやら、苦手な人込みから連れ出してくれて感謝している、ということらしい。
「違う、違う。そういうときは、“ありがとう”、だろ?」
「……そうだね。ありがとう」
微かにリディルの桜色の唇がたわむのを見て、フェイレイは満足そうに微笑む。