Faylay~しあわせの魔法
ボタンを押すと、フェイレイの前に緑色の線で描かれた地図が広がる。ざっと目を通すと、確かに戦艦内部の地図のようだった。その中央あたりに、光が赤く点滅している。

「ここがリディルのいるところだ。内部に侵入したら、ここを目指せ。時々位置を確認しろ。移動させられるかもしれん」

「なんでこんなの出るの」

「あの戦艦の内部をサーチしたのだ。さすがに、全部は拾いきれていないな」

アリアがそう言ったところで、彼女の腕の通信機が鳴る。

「私だ、王からか?」

『はい、セルティア王からの通信です』

「繋げ」

しばらく待っていると、通信機にセルティア国王の姿が小さな立体映像となって映し出された。

つい先日、フェイレイは任務で国王陛下と会っている。そのときはとても穏やかそうな印象を受けたが、今は切羽詰ったような厳しい表情をしていた。

『アリアよ、戦艦が動き出したか』

「はい。国民の避難状況はいかがですか?」

『現在までの報告では、まだ80パーセントだ。あと2時間ばかり欲しかったが』

「各地への攻撃は身を挺して防ぎます。王は引き続き民の避難をよろしくお願いいたします。避難が終わったところで、王の戦艦を拝借いたします」

『あい、分かった』

プツリ、と通信が切れる。

フェイレイとヴァンガードは未だ、何が起きているのかよく呑み込めなかった。

「あの、支部長……これは、一体……?」

おずおずとヴァンガードが訊くと、アリアは早口に説明した。
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