Faylay~しあわせの魔法
「だが……今回はお前に任せよう。星府軍から逃げ続けなければならなくなるぞ。覚悟は出来ているのだろうな?」

「もちろん!」

フェイレイは力強く頷いた。

「さっきも言った通り、お前のIDは削除する。今後の逃亡生活のためだ。新しいIDは父さんに貰え」

「父さんに?」

「父さんには北の大陸に渡ってもらった。リディルを見つけたら飛行艇でも掻っ攫え。それで『オースター島』に行くんだ。お前は一度だけ行った事があるんだが、覚えてないだろうから地図は入れておいた」

「分かった」

「あの!」

2人のやり取りを聞いていたヴァンガードは、意を決して声をかけた。

「僕も行きます。僕のIDも削除してください」

「お前が?」

アリアは眉を顰める。

「だが、お前のことはご両親から頼むと言われている。こんな危険に巻き込むわけには……」

ウウ~、とサイレンが鳴り響き、3人は空を見上げた。

黒い戦艦の底から突き出された大口径の主砲が光を蓄えている。それは稲妻のような速さで撃ち落された。

ピシャアアア、とセンタービルに張られたシールドに、円形状に光が走る。

ビル全体がグラグラと揺れたが、なんとか耐え切ったようだ。
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