Faylay~しあわせの魔法
チラリと後ろを見やり、侍女たちの誰もリディルの動きに反応を示さないことを確認してから、ソファから立ち上がる。
遠く離れた黄金の壁まで歩いて行き、開けられた丸窓から外を眺める。
分厚い硝子窓の向こうには、黒い飛空艇と白い飛行艇が木の葉のように舞いながら砲撃を繰り出していた。
この戦艦から遠く離れて飛んでいた護衛艦のひとつが、こちらに向かって近づいてきているのも見える。
「……戦ってるの?」
振り返っても、侍女たちは何も応えてはくれない。
ここにはリディルの問いに応えてくれる者はいないと判断し、部屋の扉へ向かった。
だが、両開きの木製のドアはビクともしない。
「……開けて!」
ドンドンと扉を叩いてみても、それが開かれることはなかった。
くるりと振り返り、螺旋階段を登っていく。赤い絨毯の敷かれた廊下に出て、突き当たったドアを叩く。
そこが駄目だと分かるとまた走り、部屋の中をグルリと一周して、いくつものドアを叩いた。だが、それも徒労に終わった。
外では一体何が起きているのか。
アレクセイはリディルが皇都に行けば、セルティアは救われると言っていたのに。
ドアに両手を当て、額をこすり付ける。
ここには精霊の姿が皆無だった。抵抗することすら出来ない。
「フェイ……」
小さく名を呼んで、目を閉じる。
無力な自分に失望し、アリアやセルティアの人達の無事を祈りながら。
遠く離れた黄金の壁まで歩いて行き、開けられた丸窓から外を眺める。
分厚い硝子窓の向こうには、黒い飛空艇と白い飛行艇が木の葉のように舞いながら砲撃を繰り出していた。
この戦艦から遠く離れて飛んでいた護衛艦のひとつが、こちらに向かって近づいてきているのも見える。
「……戦ってるの?」
振り返っても、侍女たちは何も応えてはくれない。
ここにはリディルの問いに応えてくれる者はいないと判断し、部屋の扉へ向かった。
だが、両開きの木製のドアはビクともしない。
「……開けて!」
ドンドンと扉を叩いてみても、それが開かれることはなかった。
くるりと振り返り、螺旋階段を登っていく。赤い絨毯の敷かれた廊下に出て、突き当たったドアを叩く。
そこが駄目だと分かるとまた走り、部屋の中をグルリと一周して、いくつものドアを叩いた。だが、それも徒労に終わった。
外では一体何が起きているのか。
アレクセイはリディルが皇都に行けば、セルティアは救われると言っていたのに。
ドアに両手を当て、額をこすり付ける。
ここには精霊の姿が皆無だった。抵抗することすら出来ない。
「フェイ……」
小さく名を呼んで、目を閉じる。
無力な自分に失望し、アリアやセルティアの人達の無事を祈りながら。