Faylay~しあわせの魔法
飛行艇で空高く舞い上がったフェイレイとヴァンガードは、グルグルと錐揉み状に回転する機体の中、必死になって椅子にしがみ付いていた。
「しつこいな!」
後ろにピタリと張り付いて離れない黒い機体をチラチラ眺めながら怒鳴るのは、何度か任務でお世話になったことがあるパイロット、タウだ。
フェイレイよりも少し年上の彼は、ギルドの飛行士たちの中では右に出るものがいないと評判の飛行技術を持っていた。
機体を左右に揺さぶりながらなんとか背後に回りこみ、ミサイルをお見舞いする。
それは見事敵に命中し、赤い炎と黒い煙を巻き上げながら地上に落下していった。
「次はどいつだ! 邪魔するなら撃ち落とすぞ!」
威勢のいいタウの声に、フェイレイは「この人、こんな人だったかな……」と、頭の片隅で考える。
普段はもっと温厚な……優しい笑顔の青年だったはずだが。
この状況で操縦桿を握ることで、どこかぶっとんでしまったのだろうか……。チラリとそんな心配をするが、そんな考えはすぐに打ち消される。
飛行艇は右に左に揺れながら、ゆっくりと進んでいく戦艦の外壁を滑るように昇り、戦艦から撃ち出される砲撃を見事に避けながら一気に雲を突き抜けた。
体には押しつぶされそうなほどの加速Gがかかり、それに歯を食いしばって耐えた。
「ドア開けるよ! 飛ばされないようにしっかり掴まって!」
「はい!」
フェイレイとヴァンガードが返事をすると、椅子から離れてドアの前に立った。
飛行艇の横についているドアがバシュ、と開く。
舞い込んでくる突風に吹き飛ばされそうになりながらも、しっかりとドアの上についている掴み棒にしがみ付き、足を踏ん張った。
「しつこいな!」
後ろにピタリと張り付いて離れない黒い機体をチラチラ眺めながら怒鳴るのは、何度か任務でお世話になったことがあるパイロット、タウだ。
フェイレイよりも少し年上の彼は、ギルドの飛行士たちの中では右に出るものがいないと評判の飛行技術を持っていた。
機体を左右に揺さぶりながらなんとか背後に回りこみ、ミサイルをお見舞いする。
それは見事敵に命中し、赤い炎と黒い煙を巻き上げながら地上に落下していった。
「次はどいつだ! 邪魔するなら撃ち落とすぞ!」
威勢のいいタウの声に、フェイレイは「この人、こんな人だったかな……」と、頭の片隅で考える。
普段はもっと温厚な……優しい笑顔の青年だったはずだが。
この状況で操縦桿を握ることで、どこかぶっとんでしまったのだろうか……。チラリとそんな心配をするが、そんな考えはすぐに打ち消される。
飛行艇は右に左に揺れながら、ゆっくりと進んでいく戦艦の外壁を滑るように昇り、戦艦から撃ち出される砲撃を見事に避けながら一気に雲を突き抜けた。
体には押しつぶされそうなほどの加速Gがかかり、それに歯を食いしばって耐えた。
「ドア開けるよ! 飛ばされないようにしっかり掴まって!」
「はい!」
フェイレイとヴァンガードが返事をすると、椅子から離れてドアの前に立った。
飛行艇の横についているドアがバシュ、と開く。
舞い込んでくる突風に吹き飛ばされそうになりながらも、しっかりとドアの上についている掴み棒にしがみ付き、足を踏ん張った。