Faylay~しあわせの魔法
「侵入者か」
戦艦の司令官室にいたアレクセイは、士官からの報告に眉ひとつ動かさずに呟いた。
「目的は、動力室か」
「恐らくは。すでに護りは固めてあります」
「それでいい。殿下とエインズワースの様子は」
「特に変わりはありません。こちらにお連れいたしますか?」
アレクセイは少しだけ思案した後、言った。
「いや、いい。殿下にはお疲れであろう。煩わしい思いをさせたくはない」
まだ少女と言える年頃のリディルが、この事態を憂いていないはずはない。
セルティア国と引き換えにされた少女の命。だが、その約束は護られることはなかった。
第二の故郷とも言うべき国を焼かれるのは、彼女にとっては身を切られるような想いであろうと、アレクセイは不憫に思った。
もちろん、その情に流されることはないが。
アレクセイにとって皇家は絶対。
しかしそれ以上に、『カイン』という存在が絶対なのだった。
その惑星王カインの命令となれば、どんなに非道なことであろうと、やり遂げなければならない。
「陛下はこのセルティアの殲滅をお望みだ。攻撃の手を緩めるな」
「イエス・サー」
カッとブーツの踵を鳴らし、士官は敬礼をすると司令室を出て行った。
戦艦の司令官室にいたアレクセイは、士官からの報告に眉ひとつ動かさずに呟いた。
「目的は、動力室か」
「恐らくは。すでに護りは固めてあります」
「それでいい。殿下とエインズワースの様子は」
「特に変わりはありません。こちらにお連れいたしますか?」
アレクセイは少しだけ思案した後、言った。
「いや、いい。殿下にはお疲れであろう。煩わしい思いをさせたくはない」
まだ少女と言える年頃のリディルが、この事態を憂いていないはずはない。
セルティア国と引き換えにされた少女の命。だが、その約束は護られることはなかった。
第二の故郷とも言うべき国を焼かれるのは、彼女にとっては身を切られるような想いであろうと、アレクセイは不憫に思った。
もちろん、その情に流されることはないが。
アレクセイにとって皇家は絶対。
しかしそれ以上に、『カイン』という存在が絶対なのだった。
その惑星王カインの命令となれば、どんなに非道なことであろうと、やり遂げなければならない。
「陛下はこのセルティアの殲滅をお望みだ。攻撃の手を緩めるな」
「イエス・サー」
カッとブーツの踵を鳴らし、士官は敬礼をすると司令室を出て行った。