Faylay~しあわせの魔法
パタン、と扉が閉じられるのを見てから、アレクセイは背後の丸窓を振り返った。そこからは、鳥のように飛び交う飛行艇の姿が良く見えた。

「侵入者か。……あの少年がいるかな」

そう言うアレクセイの顔には、薄っすらと笑みが広がる。

それはまるで、旧知の友人に会うのを楽しみにしているかのような笑みだった。






戦艦内部は、ひとつの街が入るのではないかと思われるほど広かった。

「よくこんなデカいの、飛べるよな」

正面から飛んでくる銃弾を剣を振り回しながら弾き、フェイレイは呟く。

10人くらいが余裕で並べる広さの通路は、身を隠すところがまったくない。飛んでくる銃弾はすべて自分で防がなくてはならなかった。

「防壁弾もありますが、数が限られています」

フェイレイの背にピタリと背をつけたヴァンガードは、後方から来る兵士に撃たれる前に撃って、銃弾を防いでいた。

「まだイケるうちは、取っとけ。……大丈夫か?」

「平気ですよ」

言いながらトリガーを引き絞る指には、ピリピリと痛みがあった。

魔法弾を撃つよりも、遥かに数を撃たなければならない。しかも長時間の戦闘で、グローブを嵌めていてもなお、指には血が滲んでいた。

「くそ、リディルはどっちだ」

この艦内に入ってから、攻撃が激しくて地図の確認がまったく出来ていない。方向がまったく掴めなかった。

< 151 / 798 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop