Faylay~しあわせの魔法
「無茶苦茶に走り回るから分からなくなるんですよ」

キリがないので数の少ない睡眠弾を発射し、ヴァンガードは前を向いた。

「このまま真っ直ぐ行って、左へ行って下さい」

「え、お前、覚えてんの?」

「あれくらい、初見で覚えられますよ。さっき、第二弾薬庫がありましたから、左に行って真っ直ぐ行けば、上に通じる階段があるはずです」

フェイレイは目を丸くして感心した。

「俺は無理。やっぱヴァンは凄いなー!」

そう言うと、銃撃の隙を見て一気に兵士たちに突っ込んだ。多少弾が肌を掠めていくが、気にしていられない。

一振りで何十人という兵士たちを薙ぎ払うと、兵士たちが起き上がって再び襲い掛かってくる前に走り出した。

ヴァンガードの言う通りに通路を左に折れて進んでいくと、また兵士たちが現れた。今度は剣士たちだ。

「……ちょっとやっかいだな」

剣を構える兵士たちを見て、フェイレイはフウ、と息を吐き出した。

今までの狙撃兵たちとは違う、しっかりと訓練された兵だということが、その構えから分かる。

フェイレイは剣を左手に持ちかえると、短く息を吐き出してから突っ込んでいった。

1人の剣士とぶつかると、後ろから別の剣士に斬りかかられた。それを辛うじてかわすも、その先に更に剣士が立ちはだかる。

ヴァンガードはそれをフォローしようとしたが、彼らの動きが速すぎて、下手に撃つとフェイレイに当たりそうだった。しかも、剣士たちはヴァンガードにも向かってくる。
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