Faylay~しあわせの魔法
逃げなくては。
そう思い、目を逸らして走り出そうとすると。
「ちょっと、お待ちなさい」
若い女性の声が、フードの下から聞こえてきた。
「貴方たち、セルティアの人ね?」
「……あんたは?」
いつでも走り出せるような体勢で、振り向く。
女性は腰を屈めたまま、手招きした。
「こちらへいらっしゃい。そのまま進めば、兵士たちに囲まれてしまいますよ」
「……誰だ?」
少し警戒の色を強めると、女性は黒いフードをサッと下ろした。ウェーブのかかったピンクブロンドの髪が、サラリと黒いコートに落ちる。
フードの下から現れたのは、柔和な笑みを浮かべた美しい女性だった。年は、二十歳くらいだろうか。
「私は貴方たちを助けて差し上げたいのです。信用するなら、ついていらっしゃい」
にこりと微笑むその顔に、邪気は感じられない。
足音が大きくなり、迷っている暇はなかった。自分の勘を信じるしかない。フェイレイはヴァンガードの手を引くと、女性の方へ歩み寄った。
女性は微笑むと、2人を穴の中へ招きいれ、スッと手を翳した。すると、壁の穴はみるみる塞がってしまう。
フェイレイたちが驚いていると、女性は腰を屈めて歩き出した。
「頭にお気をつけなさいね。少し狭いですよ」
その通り、穴の中は人が通れるギリギリの幅しかなく、少し屈まないと頭が引っかかる高さだった。
そう思い、目を逸らして走り出そうとすると。
「ちょっと、お待ちなさい」
若い女性の声が、フードの下から聞こえてきた。
「貴方たち、セルティアの人ね?」
「……あんたは?」
いつでも走り出せるような体勢で、振り向く。
女性は腰を屈めたまま、手招きした。
「こちらへいらっしゃい。そのまま進めば、兵士たちに囲まれてしまいますよ」
「……誰だ?」
少し警戒の色を強めると、女性は黒いフードをサッと下ろした。ウェーブのかかったピンクブロンドの髪が、サラリと黒いコートに落ちる。
フードの下から現れたのは、柔和な笑みを浮かべた美しい女性だった。年は、二十歳くらいだろうか。
「私は貴方たちを助けて差し上げたいのです。信用するなら、ついていらっしゃい」
にこりと微笑むその顔に、邪気は感じられない。
足音が大きくなり、迷っている暇はなかった。自分の勘を信じるしかない。フェイレイはヴァンガードの手を引くと、女性の方へ歩み寄った。
女性は微笑むと、2人を穴の中へ招きいれ、スッと手を翳した。すると、壁の穴はみるみる塞がってしまう。
フェイレイたちが驚いていると、女性は腰を屈めて歩き出した。
「頭にお気をつけなさいね。少し狭いですよ」
その通り、穴の中は人が通れるギリギリの幅しかなく、少し屈まないと頭が引っかかる高さだった。