Faylay~しあわせの魔法
「……リディル!!」

今までの状況からか、その素晴らしく好みの少女がリディルだと判別するのに時間がかかった。

あまりにも呆気なくリディルを見つけてしまったからかもしれない。

とにかく、リディルだと認識してからのフェイレイの行動は早かった。

サッと駆け出し、女性を追い越してリディルに飛びついた。

「リディル! 怪我は! 大丈夫? 怖くなかったか?」

早口でまくし立て、サッと視線を走らせてリディルに怪我がないか確かめる。そんな彼を、リディルは呆然として眺めていた。

「……フェイ? どうして、ここに?」

「助けに来たんだ。大丈夫か?」

がしっと肩を掴んで顔を覗き込むと、リディルは一度瞬きをした後、瞳を伏せた。

「どこも……痛くない。大丈夫」

そう言う声は震えている。

「リディル?」

リディルは俯くと、唇を震わせながら言った。

「私、ここに来れば、みんな大丈夫だと思ってた。だけど、そうじゃなかった。みんな、私のせいで……」

胸の前で組んだ小さな手が震えている。

その手をそっと両手で包み込み、フェイレイは微笑んだ。

「大丈夫、母さんが頑張ってるから。あの母さんの率いる軍隊が、そう簡単にやられるわけないだろ?」

語りかけながら、自分にもそう言い聞かせた。次々に沈んでいく飛行艇たちを目の当たりにした後では、もはやそれは祈りに近い。
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