Faylay~しあわせの魔法
「お金もらって、そんなに嬉しい?」

「え? そりゃ、もちろん。リディルは嬉しくないの?」

「別に……使わないから」

「ま、そりゃ……ご飯も服も、ギルドが出してくれるけど」

「うん。だから、別に、いらない」

リディルは、何事にも関心を示さない。

彼女くらいの年齢ならば、もう少しファッションや色んな娯楽に興味を惹かれるものなのだが。

フェイレイは、何事にも無関心なリディルが少し心配だ。

「でもさリディル。お金いらないなら、別に傭兵なんてやることないんだぞ? 傭兵なんて、危ないし、疲れるし。そりゃ、リディルは物凄い精霊士だから、リディルの力を貸して欲しい人はたくさんいるよ? でも母さんに言えば、普通の学校にだって入れてもらえるからさ」

リディルはその言葉を軽く受け流し、チラリとフェイレイを見上げた。

「フェイだって、お金入っても使わないじゃない」

「あ、うん、使わない。俺、貯めてるから」

「何か欲しいの?」

そうリディルが聞くと、フェイレイは何故か顔を赤く染めて、ブンブンと首を振った。

「いや、いいのいいの。内緒!」

「ふうん……」

リディルはさして興味もなさそうな声で頷くと、先に立ってセンタービルへと歩き出した。
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