Faylay~しあわせの魔法
ある意味、一番惑星王に近いところにいる皇后陛下が、何故。

その疑問は尤もだった。

フェイレイとリディルの前に立ち、そう怒鳴るヴァンガードを、ローズマリーは優しい微笑みを浮かべて見つめた。

「私は、カインを止めたいの。そして知りたいの。彼が何を考えているのか。何故こんなにも……変わってしまったのか」

「変わった?」

「そう、カインは変わってしまった……」

ローズマリーが表情を曇らせたところで、ドンドンドン、と扉が叩かれた。全員がハッとして振り向く。

「見つかってしまいましたね」

「脱出しないと。どこから行けばいいんだ?」

フェイレイが部屋の中をグルリと見渡していると、ローズマリーがスタスタと先程入ってきたドアに歩いていった。

「ちょっと貴方、いらっしゃい」

と、フェイレイを手招きする。

「え?」

戸惑いながらも、フェイレイはローズマリーの元へ行く。

ローズマリーはジロジロとフェイレイの顔を眺め、にこりと微笑んだ。

「貴方……もしかして、『セルティアの英雄』さんね?」

「え? ああ、うん、そう呼ばれてるけど……」

「やっぱり。何だか強そうだなって思いましたの。うふふ、意外でしたわ。英雄さんが、こんなに小さくてかわいらしい方だったなんて」

「小さいっ!!」

ローズマリーの言葉が、冷たく鋭い刃となってフェイレイの心臓をグサリと貫いた。

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