Faylay~しあわせの魔法
フェイレイはそれを追いながら、未来妄想へと意識を飛ばす。

しっかり『一生分』のお金を貯めたら、リディルにプロポーズするのだと決めていた。

婚約指輪はリディルの瞳と同じ色、翡翠の石を嵌めこんだプラチナリングを贈る。

プロポーズの返事がイエスかノーか、今のところ何とも言えない。なにせ、まだ好きだとも伝えていないのだから。

だが、きっとイエスだと信じて妄想は続く。

結婚した2人はギルドを辞めて、コバルトブルーの海を臨める小高い丘に、小さくもかわいらしい家を買うのだ。

家は白い木造がいい。木の精霊クランに見守られる家は、きっとぬくもりに満ちるだろう。

庭には年中楽しめるよう、色とりどりの花を植え、リディルと一緒に眺めよう。花の精霊ミンミンたちのダンスが今から楽しみでならない。

あまり首都圏から離れると、魔族に襲われる可能性も大きくなるので、場所はこのセルティアの海岸沿いあたりが良いだろうか。

もしものときは、引退したとはいえ、十分強いはずの元剣士な自分がいるから、まったく問題はないけれど。


「あ、『剣士』じゃなくて、その頃には『勇者』になってるはずだな。『勇者』の俺がいるから大丈夫か」

自分の妄想に突っ込みを入れつつ、フェイレイは続きを夢見る。


それでも自分が家に不在のときに襲われたら大変なので、子供たちにも剣技か精霊召還術を教えなければ。

そのときはきっと、リディルも協力してくれる。

なんと言っても優秀な精霊士だ。

その血を引く子供もきっと、精霊と仲良しになれる……。


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