Faylay~しあわせの魔法
『ならば、私の力を送る。媒体になれよ、アレクセイ』
その言葉に、アレクセイは眉を顰めた。
「陛下。飛行艇には皇后陛下が」
『構わん。もう、必要のない女だ』
「──カイン様」
嗜めるようなアレクセイに、カインはクッと喉を鳴らして笑った。
『ああ、すまん。お前に対する配慮に欠けた言葉だったか? ……皇后とは、幼馴染だったな』
「……カイン様……」
アレクセイは決して表情を変えることはなかったが、カインに見えないところで拳を握り締めた。
『だが、私には必要ない。私が欲しているのは、リディアーナ、ただ一人。……さあ行け、アレクセイ。私に逆らう愚か者どもに、制裁を与えるのだ』
アレクセイは無言で頭を下げた。
そしてすぐに司令室を出て、戦艦の甲板へと向かう。
戦艦の甲板にある飛行艇発着所から黒い飛行艇を一艘奪取すると、激しい砲弾が飛び交う中、一気に空へと舞い上がった。
「エンジン、かかってて助かったけど」
操縦桿を握りながら、フェイレイは呟く。
「……俺、操縦の仕方、知らないんだった」
「なんですって!?」
ヴァンガードが悲鳴に似た声を上げる。
「それでどうやって飛行艇で逃げる気だったんでっ……うわああああ」
目の前を掠めていった飛行艇を避けようと、操縦桿を動かした拍子に、飛行艇は大津波をくだる船のごとく、急降下した。
その言葉に、アレクセイは眉を顰めた。
「陛下。飛行艇には皇后陛下が」
『構わん。もう、必要のない女だ』
「──カイン様」
嗜めるようなアレクセイに、カインはクッと喉を鳴らして笑った。
『ああ、すまん。お前に対する配慮に欠けた言葉だったか? ……皇后とは、幼馴染だったな』
「……カイン様……」
アレクセイは決して表情を変えることはなかったが、カインに見えないところで拳を握り締めた。
『だが、私には必要ない。私が欲しているのは、リディアーナ、ただ一人。……さあ行け、アレクセイ。私に逆らう愚か者どもに、制裁を与えるのだ』
アレクセイは無言で頭を下げた。
そしてすぐに司令室を出て、戦艦の甲板へと向かう。
戦艦の甲板にある飛行艇発着所から黒い飛行艇を一艘奪取すると、激しい砲弾が飛び交う中、一気に空へと舞い上がった。
「エンジン、かかってて助かったけど」
操縦桿を握りながら、フェイレイは呟く。
「……俺、操縦の仕方、知らないんだった」
「なんですって!?」
ヴァンガードが悲鳴に似た声を上げる。
「それでどうやって飛行艇で逃げる気だったんでっ……うわああああ」
目の前を掠めていった飛行艇を避けようと、操縦桿を動かした拍子に、飛行艇は大津波をくだる船のごとく、急降下した。