Faylay~しあわせの魔法
「それに、ほら。みんな落ち着いてるでしょ? だから、大丈夫」
ヴァンガードは後ろを振り返る。
すぐ後ろに座っているローズマリーは胸の辺りで両手を組み、ジッと目を閉じていた。
「……陛下?」
声をかけると、ローズマリーは目を閉じたまま口を開いた。
「ああ、駄目よ、エインズワースの坊や。私、どうせ死ぬのなら、心地よい夢の世界へ旅立っているうちが良いのです。起こさないでくださいね」
この凄まじい揺れと加速Gのかかる中、夢の中へ旅立つ努力をしているらしい彼女に、ヴァンガードはポカンと口を開けた。
その更に後ろの席に座っている両親は、しっかりと手を取り合い、青白い顔をしながら半分気を失っていた。
どう見ても、これを見て大丈夫だとは思えなかったが。
リディルに視線を戻し、変わらず落ち着いた翡翠の瞳を向けてくる彼女を見ていたら、少しだけ落ち着いてきたような気がした。
「ぼ、僕がしっかりしないと、このパーティは全滅するんだ」
なんとなく自分の立ち位置を認識したヴァンガードは、リディルに礼を言って手を離してもらうと、座席のシートベルトを外した。
そしてフェイレイの握っている操縦桿と、前にある計器類をザッと眺め、高度計や速度計、磁気コンパスなどがどれかを理解し、操縦席に割り込んだ。
「操縦代わってください! 僕がやります!」
ヴァンガードは後ろを振り返る。
すぐ後ろに座っているローズマリーは胸の辺りで両手を組み、ジッと目を閉じていた。
「……陛下?」
声をかけると、ローズマリーは目を閉じたまま口を開いた。
「ああ、駄目よ、エインズワースの坊や。私、どうせ死ぬのなら、心地よい夢の世界へ旅立っているうちが良いのです。起こさないでくださいね」
この凄まじい揺れと加速Gのかかる中、夢の中へ旅立つ努力をしているらしい彼女に、ヴァンガードはポカンと口を開けた。
その更に後ろの席に座っている両親は、しっかりと手を取り合い、青白い顔をしながら半分気を失っていた。
どう見ても、これを見て大丈夫だとは思えなかったが。
リディルに視線を戻し、変わらず落ち着いた翡翠の瞳を向けてくる彼女を見ていたら、少しだけ落ち着いてきたような気がした。
「ぼ、僕がしっかりしないと、このパーティは全滅するんだ」
なんとなく自分の立ち位置を認識したヴァンガードは、リディルに礼を言って手を離してもらうと、座席のシートベルトを外した。
そしてフェイレイの握っている操縦桿と、前にある計器類をザッと眺め、高度計や速度計、磁気コンパスなどがどれかを理解し、操縦席に割り込んだ。
「操縦代わってください! 僕がやります!」