Faylay~しあわせの魔法
この空域のどこにも、精霊の気配はない。
精霊士たちは手をこまねいて、この事態を見ているしか出来ないのだ。
けれども。
精霊の、女王ならば。
この激しい戦闘の中でも、恐れずに力を貸してくれるかもしれない。
「大地の名を謳う、我が名はリディル。名の契約に従い、血の盟約に応えよ、ロイエ・ウィルダス」
精一杯の祈りを込めて、土の精霊の女王に呼びかける。
ずしりと体に重圧がかかり、飛行艇の周りに黄砂のような霧が舞った。
「女王ですの!?」
ローズマリーが声を上げる。
黄砂の中から現れた、浅黒い肌をし、黄丹色の衣をまとった土の精霊ウィルダスの女王は、大きな掌で飛行艇を包み込むように優しく、そっと押しやった。
ぐん、と飛行艇はスピードを増し、リンドブルムや黒い飛行艇たちをすり抜けていく。
リンドブルムの鋭い翼から放たれる風の刃も、ウィルダスが全て受け止める。そのダメージのいくらかは、召喚者へ跳ね返る。
「リディル!」
フェイレイが振り返ると、リディルはフェイレイにしがみつきながら、全身を駆け巡る痛みに必死になって耐えていた。
「こうなったら、早くここから抜け出すしかありませんわ。坊や、フルスロットルで!」
「はい!」
ローズマリーの声に応え、ヴァンガードはスロットルを全開まで開けた。
精霊士たちは手をこまねいて、この事態を見ているしか出来ないのだ。
けれども。
精霊の、女王ならば。
この激しい戦闘の中でも、恐れずに力を貸してくれるかもしれない。
「大地の名を謳う、我が名はリディル。名の契約に従い、血の盟約に応えよ、ロイエ・ウィルダス」
精一杯の祈りを込めて、土の精霊の女王に呼びかける。
ずしりと体に重圧がかかり、飛行艇の周りに黄砂のような霧が舞った。
「女王ですの!?」
ローズマリーが声を上げる。
黄砂の中から現れた、浅黒い肌をし、黄丹色の衣をまとった土の精霊ウィルダスの女王は、大きな掌で飛行艇を包み込むように優しく、そっと押しやった。
ぐん、と飛行艇はスピードを増し、リンドブルムや黒い飛行艇たちをすり抜けていく。
リンドブルムの鋭い翼から放たれる風の刃も、ウィルダスが全て受け止める。そのダメージのいくらかは、召喚者へ跳ね返る。
「リディル!」
フェイレイが振り返ると、リディルはフェイレイにしがみつきながら、全身を駆け巡る痛みに必死になって耐えていた。
「こうなったら、早くここから抜け出すしかありませんわ。坊や、フルスロットルで!」
「はい!」
ローズマリーの声に応え、ヴァンガードはスロットルを全開まで開けた。