Faylay~しあわせの魔法
それでも追ってくるリンドブルムの攻撃を防ぐたび、リディルは小さく悲鳴を上げる。

「リディル」

そんな彼女を、フェイレイはギュッと抱きしめた。

痛みに耐え、それから逃れようと、リディルは無意識にフェイレイにしがみつく。

「皇女殿下……」

自分たちを護るため、身を挺して女王を召還するリディルを、オズウェルたちも悲痛な思いで見守った。

本来ならばリディルを護る立場であるのに、何も出来ないことの、なんと歯がゆいことだろう。

ジリジリとした焦燥を感じながらも、順調にこの戦域を抜け出そうとしていた、そのとき。


『私に逆らうとは、いけない子だ、リディアーナ』


ゴウゴウと唸る風や爆発音の響き渡る空間に、ぱしん、と声が耳に届いた。

「カイン!」

ローズマリーが辺りに視線を走らせる。

「カイン……惑星王!?」

フェイレイも辺りを見回すが、リンドブルムと飛行艇が飛び交っている中に、惑星王がいるとは思えなかった。

「惑星王……」

肩で息をしながらリディルが顔を上げると、青い空の一点が、暗く翳って見えた。

目を細めてそれを見上げていると、ドクリ、と心臓が波打った。


『さあ、帰っておいで、リディアーナ』


「ヴァン! 避けて!!」

リディルの声が響いた瞬間、遥か上空から光の速さでリンドブルムが舞い降りてきた。それはウィルダスの防御を付き抜け、飛行艇の胴体を掠めていった。

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