Faylay~しあわせの魔法
ヴァンガードが目覚めたとき、薄雲のかかる青空からは、優しい太陽の光が降り注いでいた。
そよそよと吹く風に含まれる潮の香りと、耳に心地よい波の音をぼんやりと聞いていた彼は、ハッとして起き上がった。
派手に壊れたフロントガラスの向こうに広がる一面のコバルトブルーに、一瞬頭の中が真っ白になった。
ぐるりと見渡してみても、どこを見ても、僅かに白波が立つコバルトブルー。
「……墜落、した」
そのことを、やっと思い出す。
フェイレイの活躍でリンドブルムは追い払ったが、その後も飛行艇の追撃は続き、最後にミサイル攻撃を受け、それを尾翼に受けてしまったのだ。
それから、なんとか機体を立て直そうと努力はしたものの、黒い飛行艇はゆっくりと空を下降していき、そして、海に堕ちた。
どこだかも知れない、北の海へ。
徐々に絶望が広がっていく中、後ろの方でドタドタと音がしていることに気付いた。
「浸水止まった! あとは? ない?」
フェイレイの声だ。
振り返って風に靡く赤い髪を眺めていると、フェイレイがヴァンガードに気付いた。
「お、ヴァン! 目が覚めたか? 大丈夫か?」
言いながらヴァンガードに駆け寄り、ぽん、と頭に手を乗せる。
「あ……はい、大丈夫、です」
まだ目が覚めきらない、といったようなヴァンガードの受け答えに、フェイレイはニコリと微笑む。
「座ってていいからな」
水色の髪をクシャクシャとして、フェイレイはくるりと振り返り、座席をすり抜けていった。
そよそよと吹く風に含まれる潮の香りと、耳に心地よい波の音をぼんやりと聞いていた彼は、ハッとして起き上がった。
派手に壊れたフロントガラスの向こうに広がる一面のコバルトブルーに、一瞬頭の中が真っ白になった。
ぐるりと見渡してみても、どこを見ても、僅かに白波が立つコバルトブルー。
「……墜落、した」
そのことを、やっと思い出す。
フェイレイの活躍でリンドブルムは追い払ったが、その後も飛行艇の追撃は続き、最後にミサイル攻撃を受け、それを尾翼に受けてしまったのだ。
それから、なんとか機体を立て直そうと努力はしたものの、黒い飛行艇はゆっくりと空を下降していき、そして、海に堕ちた。
どこだかも知れない、北の海へ。
徐々に絶望が広がっていく中、後ろの方でドタドタと音がしていることに気付いた。
「浸水止まった! あとは? ない?」
フェイレイの声だ。
振り返って風に靡く赤い髪を眺めていると、フェイレイがヴァンガードに気付いた。
「お、ヴァン! 目が覚めたか? 大丈夫か?」
言いながらヴァンガードに駆け寄り、ぽん、と頭に手を乗せる。
「あ……はい、大丈夫、です」
まだ目が覚めきらない、といったようなヴァンガードの受け答えに、フェイレイはニコリと微笑む。
「座ってていいからな」
水色の髪をクシャクシャとして、フェイレイはくるりと振り返り、座席をすり抜けていった。