Faylay~しあわせの魔法
遥か遠くで眩しく光る海からリディルの横顔に視線をやり、更に頬を緩ませているうちにエレベーターは最上階に到着した。
扉が開いた先は、セルティアギルド支部長室。
ピカピカの床の上を靴音を響かせて歩いていくと、窓際に立っていた赤髪を綺麗に結い上げた女性が振り返った。
「ああ、帰ったか」
「ただいま、母さん」
フェイレイがにこやかにそう言うと。
ヒュ、と空気が高い音を立て、次の瞬間には女性の回し蹴りがフェイレイの頬にヒットした。
フェイレイの身体はリディルの目の前を真横に飛んでいき、壁にぶち当たった。
「馬鹿者! ここでは支部長と呼べと何度言ったら分かるのだ!」
「はひ、すびません」
壁にめり込んだ頭を引っこ抜き、フェイレイは振り返る。その頃にはもう、女性──セルティアギルド支部長でありフェイレイの母、アリアはリディルに飛びついていた。
「おお、私のかわいいリディル! どこも怪我はしていないだろうな? フェイの馬鹿に変なことされなかっただろうな? ん?」
フェイレイと同じ深海色の瞳でリディルの身体をパパパと眺め、そっとその顔を両手で包み込む。
そんな仕種はフェイレイにそっくりで、リディルは表情を和らげた。
「大丈夫」
小さな声に、アリアは満面の笑みを作った。
「そうかそうか、私はお前に何かあったらと気が気ではなかったよ。無事でよかった」
「心配、しすぎ」
「何を言うか」
アリアはリディルから手を離し、両手を広げて訴える。
扉が開いた先は、セルティアギルド支部長室。
ピカピカの床の上を靴音を響かせて歩いていくと、窓際に立っていた赤髪を綺麗に結い上げた女性が振り返った。
「ああ、帰ったか」
「ただいま、母さん」
フェイレイがにこやかにそう言うと。
ヒュ、と空気が高い音を立て、次の瞬間には女性の回し蹴りがフェイレイの頬にヒットした。
フェイレイの身体はリディルの目の前を真横に飛んでいき、壁にぶち当たった。
「馬鹿者! ここでは支部長と呼べと何度言ったら分かるのだ!」
「はひ、すびません」
壁にめり込んだ頭を引っこ抜き、フェイレイは振り返る。その頃にはもう、女性──セルティアギルド支部長でありフェイレイの母、アリアはリディルに飛びついていた。
「おお、私のかわいいリディル! どこも怪我はしていないだろうな? フェイの馬鹿に変なことされなかっただろうな? ん?」
フェイレイと同じ深海色の瞳でリディルの身体をパパパと眺め、そっとその顔を両手で包み込む。
そんな仕種はフェイレイにそっくりで、リディルは表情を和らげた。
「大丈夫」
小さな声に、アリアは満面の笑みを作った。
「そうかそうか、私はお前に何かあったらと気が気ではなかったよ。無事でよかった」
「心配、しすぎ」
「何を言うか」
アリアはリディルから手を離し、両手を広げて訴える。