Faylay~しあわせの魔法
凪いだ青い海を視界の端に捕らえながら笑みを浮かべたヴァンガードは、すくっと立ち上がった。
「父上、僕、フェイレイさんを手伝ってきます」
「ああ、そうしなさい」
頷く父に更に喜びを噛み締め、フェイレイのいる船倉へと下りていった。
「おりゃあああ~!」
フェイレイは掛け声とともに、船倉にひたひたと入り込んだ海水をバケツに汲んで、ガラリと開けた搭乗口から放り出した。
何度も何度もそれを繰り返していると、ぴたり、と頬に冷たい感触がした。
手を休めて頬に手をやると、むにむにと柔らかいものが触れ、それを引き剥がした。
「……ファリガ!」
青く透き通る長い髪を持つ小さな精霊は、海の精霊ファリガ。
泡沫のような模様のついたドレスをひらりと靡かせたファリガは、フェイレイの瞳と同じ深海色の大きな目をパチパチと瞬きさせた。
今まで星府軍に怯えて隠れていた精霊たちが現れた。ということは、星府軍はセルティアから退いたのだろうか?
そんな希望が出てきて、フェイレイは笑顔になった。
それに呼応するようにファリガもにこりと微笑む。
そして登場口や丸窓から、同じような精霊がひょこひょこと顔を出し、船倉にたまった海水の中に飛び込んだ。
彼女たちが小さな手をぐん、と上に伸ばすと、海水は細い糸状になって宙に浮かび、渦を巻いて外へと運び出されていった。
「おおおお、凄い、凄い!」
感激して手を叩くと、ファリガたちはニコニコ笑ってコクコク頷いた。
その様子を、手伝いに来たヴァンガードも目撃する。
「父上、僕、フェイレイさんを手伝ってきます」
「ああ、そうしなさい」
頷く父に更に喜びを噛み締め、フェイレイのいる船倉へと下りていった。
「おりゃあああ~!」
フェイレイは掛け声とともに、船倉にひたひたと入り込んだ海水をバケツに汲んで、ガラリと開けた搭乗口から放り出した。
何度も何度もそれを繰り返していると、ぴたり、と頬に冷たい感触がした。
手を休めて頬に手をやると、むにむにと柔らかいものが触れ、それを引き剥がした。
「……ファリガ!」
青く透き通る長い髪を持つ小さな精霊は、海の精霊ファリガ。
泡沫のような模様のついたドレスをひらりと靡かせたファリガは、フェイレイの瞳と同じ深海色の大きな目をパチパチと瞬きさせた。
今まで星府軍に怯えて隠れていた精霊たちが現れた。ということは、星府軍はセルティアから退いたのだろうか?
そんな希望が出てきて、フェイレイは笑顔になった。
それに呼応するようにファリガもにこりと微笑む。
そして登場口や丸窓から、同じような精霊がひょこひょこと顔を出し、船倉にたまった海水の中に飛び込んだ。
彼女たちが小さな手をぐん、と上に伸ばすと、海水は細い糸状になって宙に浮かび、渦を巻いて外へと運び出されていった。
「おおおお、凄い、凄い!」
感激して手を叩くと、ファリガたちはニコニコ笑ってコクコク頷いた。
その様子を、手伝いに来たヴァンガードも目撃する。