Faylay~しあわせの魔法
「よかった、これでなんとか陸に辿り着けるな。大分流されてしまったんだ」
フェイレイは通信機の地図を目の前に広げる。
緑色に光る線で描かれた世界地図を眺めると、東の大陸と北の大陸のちょうど真ん中あたりが、赤く点滅していた。
「最初は、もっと西に堕ちたんだけど」
と、赤い光よりも北西を指す。
「思ったより海流が速いみたいだ。一晩で60キロも流された。このままだったら、西の大陸に流れついちゃってたかもな」
「……いえ、ここから流されるなら、東のワイナル国ですよ。……逆戻りするところでしたね」
「お前、海流まで覚えてんの?」
「世界地理は必修だったはずです。……まさか、覚えてないんですか?」
「あはは~」
笑って誤魔化すフェイレイに、ヴァンガードは溜息をつく。
「知性が足りない……それで精霊たちにも迷惑をかけているんですよ」
ちょっと嫌味を言えば、たちまち眉を八の字にして落ち込む。
先ほどの精霊たちのやり取りの後では、さすがにキツすぎたかと少し罪悪感を感じていると。
「ん、頑張る! しっかりしないとな!」
すぐに力強い瞳に変わり、立ち直った。
「……早い」
あまりにも早い立ち直りに、ヴァンガードは呆れたらよいのか、それとも見習うべきなのか……少しだけ戸惑いながら、話を続けた。
「この辺りは、北のアライエル国の海域です。オースター島へは、アライエルのヤイル岬をぐるっとまわって、東海岸をずっと北上すればいいと思います。ですが……今の時期、オースター島は流氷に覆われています。飛べない飛行艇では、進めないかもしれません」
フェイレイは通信機の地図を目の前に広げる。
緑色に光る線で描かれた世界地図を眺めると、東の大陸と北の大陸のちょうど真ん中あたりが、赤く点滅していた。
「最初は、もっと西に堕ちたんだけど」
と、赤い光よりも北西を指す。
「思ったより海流が速いみたいだ。一晩で60キロも流された。このままだったら、西の大陸に流れついちゃってたかもな」
「……いえ、ここから流されるなら、東のワイナル国ですよ。……逆戻りするところでしたね」
「お前、海流まで覚えてんの?」
「世界地理は必修だったはずです。……まさか、覚えてないんですか?」
「あはは~」
笑って誤魔化すフェイレイに、ヴァンガードは溜息をつく。
「知性が足りない……それで精霊たちにも迷惑をかけているんですよ」
ちょっと嫌味を言えば、たちまち眉を八の字にして落ち込む。
先ほどの精霊たちのやり取りの後では、さすがにキツすぎたかと少し罪悪感を感じていると。
「ん、頑張る! しっかりしないとな!」
すぐに力強い瞳に変わり、立ち直った。
「……早い」
あまりにも早い立ち直りに、ヴァンガードは呆れたらよいのか、それとも見習うべきなのか……少しだけ戸惑いながら、話を続けた。
「この辺りは、北のアライエル国の海域です。オースター島へは、アライエルのヤイル岬をぐるっとまわって、東海岸をずっと北上すればいいと思います。ですが……今の時期、オースター島は流氷に覆われています。飛べない飛行艇では、進めないかもしれません」