Faylay~しあわせの魔法
「アレクセイって、あの騎士」

「ええ。星府軍元帥、アレクセイ=ラゼスタ。私の幼馴染ですの」

「……ええええ!?」

フェイレイは驚いて大声を上げる。

両親と一緒に座っていたヴァンガードが、何事かとこちらを見ている。それに曖昧に微笑みかけた後、フェイレイはローズマリーに詰め寄った。

「あの騎士と幼馴染!?」

「ええ。同じ皇都ギルドで育ちました。2人で最強コンビと言われていましたのよ」

ふふ、と得意げに微笑むローズマリー。

世界一の拳闘士と、剣士。それは確かに最強だ。

「アレクセイは、私が皇后になる頃に星府軍に引き抜かれたのです。それからたったの5年で元帥にまで登りつめました。努力家なのです」

フェイレイはあんぐりと口を開ける。

世界一の剣士から、たったの5年で星府軍元帥へ。

「……敵わないはずだ」

そう言いながら、フェイレイの中で漠然と目標が出来つつあった。

あのアレクセイを越える。

そうしなければならない。

「そうしてカインや私を護ってくれていました。けれど、カインがおかしくなってきた頃から、やはりアレクセイもおかしかったわ。カインに逆らうな、口答えするな。……果ては近づくな、なんてことも……。アレクセイ、もしかして、何か知っていた……?」

ローズマリーはしばらく黙考した。

その間にフェイレイも何が起きているのか考えてみたが、やはり、何が起きていたのかなどさっぱり分からない。
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