Faylay~しあわせの魔法
「惑星王、何がしたいんだろう。こんなんじゃ、世界は壊れるばかりだ。リディルのことだって……クーデターを起こした宰相みたいに、するつもり、なんだろ?」

「それは……」

ローズマリーは、さらさらと風に揺れるリディルの髪を、そっと撫でた。

「分かりません。でも、カインは……昔のカインは、リディアーナを処刑するつもりなどなかったのよ? 行方不明だって聞いて、本当に心配していたのですもの」

「……それ、本当?」

「ええ、本当です。捜索もずっとしていたのですよ。見つけたら、お母様のことを詫びたいって。……幸せに暮らして欲しいのだとも言っていたのです。宰相のことだって、処刑せずにずっと牢に閉じ込めていたのですよ? それを、今になって公開処刑……やはり、何かがおかしいのよ。あれは……カインでは、ない」

自分の言葉がすとんと胸に落ち、ローズマリーは深く頷いた。

あれは、カインではない。

では誰なのだと聞かれても、それは分からないけれど。

「惑星王が惑星王でなくたって、何だって、リディルを傷つける人に変わりない」

「……そうですね」

ローズマリーは哀しげに頷いた。

「リディアーナが自分の他に唯一、精霊の女王を召喚出来る者だから……狙っているのかもしれません。この子がちゃんと女王を召喚出来るようになれば……脅威ですもの」

フェイレイは座席の背もたれをギュッと抱きしめながら、リディルの寝顔を見守る。

絶対に、惑星王には渡さない。

護ってみせる……。

< 200 / 798 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop