Faylay~しあわせの魔法
その合間を縫って引っ張られてきた飛行艇は、鉄骨の桟橋にぶつかって止まった。

「なんだぁ!? オイ、人がいたぞ」

桟橋にいた大柄の男が声を上げる。

その横にいた細身の男も、フェイたちの存在に気付き、全員の顔をザッと見渡した。

「あれま、ホントだ。なかなかの綺麗どころじゃないか。丁度いい、こういうの欲しがってたヤツがいただろう」

「よしよし、牢にぶち込んでおくか」

男たちはそう話をまとめると、手招きして応援を呼んだ。

桟橋から次々に飛行艇に飛び移ってきて、フェイレイたちを取り囲む。

「見たところ、星府軍のお偉いさんだなぁ、あんたたち」

「旅行か何かで嵐にでも遭ったのか? 災難だったな」

なんて声をかけながらも、同情している様子は更々なく、イヒヒ、と下卑た笑いを響かせた。

「どうするんですか」

ヴァンガードは小声でフェイレイに囁く。

そのフェイレイは、ローズマリーやリディルに手をかけようとする海賊たちを見て、サッとその前に立ち塞がった。

「何だ? 抵抗するか?」

海賊の声に、フェイレイは言った。

「話がしたい。船長と」

「話だぁ?」

「『交渉』、ですわ」

ローズマリーはリディルの頭を膝に乗せたまま、優雅に微笑んだ。
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