Faylay~しあわせの魔法
その言葉に、海賊たちは顔を見合わせ、軽く舌打ちした。
その後、大柄な男が顎をしゃくる。
「ついてきな」
意外にもあっさりと、海賊たちはフェイレイたちから離れ、道を開けてくれた。
「え、な、なんで?」
「海賊には、交渉を願い出た人を、船長と面会させなければならないという掟がありますの。船長と話し合いが終わるまで、決して手を出してはいけないのです。ずっと昔に聞いたお話ですけれど……その話が本当で良かったわ」
戸惑うヴァンガードに、ローズマリーはそう説明した。
「そ、そうなんですか……。でも、その後は?」
「さあ。……英雄さん次第ですわね」
そんな、とヴァンガードが言葉を発する前に、ローズマリーはリディルを抱えて立ち上がった。
「あ、俺が」
とフェイレイが手を差し出すと、
「この子は私に任せて。貴方は何かあったとき、すぐに動ける状態でいなさい。その方が良いわ」
ローズマリーの意見はもっともで、ここから先は何が起きるのか分からない状況だ。フェイレイはその言葉に従うことにする。
「分かった。頼みます」
「ああ、それから。貴方たち、私のことを今後、『陛下』と呼んではいけませんよ」
「え? でも……」
「事態がややこしくなります。ですから、『ローズ』とお呼びなさい。いいですね」
有無を言わせぬ物言いは、さすが皇后陛下だった。全員、黙って頷く。
その後、大柄な男が顎をしゃくる。
「ついてきな」
意外にもあっさりと、海賊たちはフェイレイたちから離れ、道を開けてくれた。
「え、な、なんで?」
「海賊には、交渉を願い出た人を、船長と面会させなければならないという掟がありますの。船長と話し合いが終わるまで、決して手を出してはいけないのです。ずっと昔に聞いたお話ですけれど……その話が本当で良かったわ」
戸惑うヴァンガードに、ローズマリーはそう説明した。
「そ、そうなんですか……。でも、その後は?」
「さあ。……英雄さん次第ですわね」
そんな、とヴァンガードが言葉を発する前に、ローズマリーはリディルを抱えて立ち上がった。
「あ、俺が」
とフェイレイが手を差し出すと、
「この子は私に任せて。貴方は何かあったとき、すぐに動ける状態でいなさい。その方が良いわ」
ローズマリーの意見はもっともで、ここから先は何が起きるのか分からない状況だ。フェイレイはその言葉に従うことにする。
「分かった。頼みます」
「ああ、それから。貴方たち、私のことを今後、『陛下』と呼んではいけませんよ」
「え? でも……」
「事態がややこしくなります。ですから、『ローズ』とお呼びなさい。いいですね」
有無を言わせぬ物言いは、さすが皇后陛下だった。全員、黙って頷く。