Faylay~しあわせの魔法
「パーレイ? どこのどいつだ、そんなことしやがるのは」

大柄な男のすぐ後ろを歩いてきたフェイレイを下から見上げ、船長は顔を顰めた。

「……ふん?」

その後、その後ろに並ぶメンバーたちを眺めた後、徐に立ち上がった。

そこで初めて、この船長がだいぶ背が高いということが分かった。動きが緩慢で一見ダラけて見えるが、眼帯をしていない右目が鋭く光を放っている。

──強い。

フェイレイには、それがすぐに分かった。

なるべく、この人と事を構えたくはない。

「どこで拾ってきた、こんなの」

「は、墜落したと思われる星府軍の飛行艇に乗っているのを、たまたま見つけました」

「星府軍か」

船長は一瞬眉を顰めたあと、フェイレイに向き直った。

「さて、星府軍のお坊ちゃんたちよ。願いはなんだ」

「願い?」

「パーレイとは、『最期の願い』。つまり、命乞いのことだ。うまくいけば生き延びられるし、そうでなければ、俺たちの好きなようにする」

周りにいる海賊たちの目が、キラリと光った。

いつでも飛び掛っていける。そんな気配がある。

ここに来るまでの間、彼らの動きを観察してみたが、まったく隙がなかった。そしてこの船長を前にしたとき、ああ、と納得したのだ。

この船長が頂点に立って動かしているここは、軍隊よりも厳しい戒律に護られ、そして見事な統率が取れているのだ、と。
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