Faylay~しあわせの魔法
(どうする?)

フェイレイは自身に問いかけていた。

ここで暴れても、無駄に命を減らすだけだ。

戦いたいわけじゃない。

無事にアライエルへ、その先のオースター島まで行きたいだけだ。

けれど、その『対価』はない。

「……対価がない場合は、どうするんだ?」

「言っただろう。お前さんたちの身体か命を貰う」

「でも俺たちは、今ここで、あんたたちに捕まるわけにはいかない」

「俺に相談か?」

ハッ、と船長は笑いを漏らす。

「うん、相談だ。どうしても、アライエルまで行きたい。どうすればいい?」

ジッと視線を逸らすことなく船長の右目を覗き込む。鋭い輝きを放つそれは、ふわふわと泳いでいるようで、だがしっかりとフェイレイを捉えている。

しばらく沈黙が流れた。

そうして、船長はニヤリと笑う。

「……お前さんが、この船を動かすようにすればいい」

「どうやって?」

「お前さんがこの船の船長になるのさ」

「……どうやって?」

「この俺を倒して、だ」

その言葉に周りがざわついた。

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