Faylay~しあわせの魔法
「頑張って、『勇者』さん」
そう声をかけると、フェイレイはリディルの寝顔へ目をやった後、強気な笑みを見せた。
「分かった。船長、俺と勝負だ」
それを聞き、船長もニヤリと妖しく微笑んだ。
「いい度胸だ」
船長は手を挙げて海賊のひとりを呼び寄せると、何かを耳打ちした。
海賊は驚きの声を上げた後、しっかり頷いて去っていった。
「船を移動させる。決闘はそこでだ」
「分かった」
「着くのは夜半過ぎだ。それまでここで自由にしているといい。心配するな。パーレイの間は、誰も手出ししやしねぇよ」
船長は軽く手を振ると、何人かの海賊たちを従えて船室の方へと歩いていってしまった。
船は滑るように、黒い海の上を進んでいく。
船長の言う通り、周りを取り囲まれてはいるものの、襲われることはなかった。警戒を解くことは出来ないものの、それぞれ甲板に座り込んで身体を休めた。
そこで、陽が沈んでもまだ目を覚まさないリディルを、全員が心配そうに見下ろしている。
「皇女殿下……」
ビアンカがそっとリディルの顔を覗き込む。
「シッ。この子のことも、そんな風に呼んではいけませんよ」
「あっ、すみません……」
ビアンカは謝り、そっとリディルの額に手を乗せた。
そう声をかけると、フェイレイはリディルの寝顔へ目をやった後、強気な笑みを見せた。
「分かった。船長、俺と勝負だ」
それを聞き、船長もニヤリと妖しく微笑んだ。
「いい度胸だ」
船長は手を挙げて海賊のひとりを呼び寄せると、何かを耳打ちした。
海賊は驚きの声を上げた後、しっかり頷いて去っていった。
「船を移動させる。決闘はそこでだ」
「分かった」
「着くのは夜半過ぎだ。それまでここで自由にしているといい。心配するな。パーレイの間は、誰も手出ししやしねぇよ」
船長は軽く手を振ると、何人かの海賊たちを従えて船室の方へと歩いていってしまった。
船は滑るように、黒い海の上を進んでいく。
船長の言う通り、周りを取り囲まれてはいるものの、襲われることはなかった。警戒を解くことは出来ないものの、それぞれ甲板に座り込んで身体を休めた。
そこで、陽が沈んでもまだ目を覚まさないリディルを、全員が心配そうに見下ろしている。
「皇女殿下……」
ビアンカがそっとリディルの顔を覗き込む。
「シッ。この子のことも、そんな風に呼んではいけませんよ」
「あっ、すみません……」
ビアンカは謝り、そっとリディルの額に手を乗せた。