Faylay~しあわせの魔法
「フォレイスで回復させることが出来れば良いのですけれど……疲労は、ご自分で回復させていただくしかなくて……歯がゆいですわ」

「……カインの攻撃を受けたのです。そのせいもあるのでしょう、この回復の遅れは」

ビアンカに続き、ローズマリーも憂い顔を作る。

全ての元凶となっている、愛しい人を思い出して。

「それだけ惑星王が強いんだな」

フェイレイの問いに、ローズマリーは少しだけ辛そうに頷いた。

それから、意識を切り替える。

「それより貴方、今のうちに寝ておきなさい。着くのは夜半過ぎと言っていましたね? もう2日、寝ていないのではないのですか?」

「あ、いや。3日くらい寝なくても平気だけど」

とは言うものの、これから戦う相手は、相当の手だれだと踏んでいた。体調を万全にして臨まないといけない。

「寝とくか。……大丈夫?」

全員に確認すると、みんな頷いてくれた。

「着いたら起こして」

と、リディルの隣に転がる。

ついでに彼女の手を取り、指を絡める。

(冷たい)

微かな息遣いしか感じられないリディルは、体温もかなり下がっていた。
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