Faylay~しあわせの魔法
(大丈夫? 早く元気になって)

そう願いながら、あっという間に意識を沈ませる。

「早い。5秒で寝ましたね」

ヴァンガードは驚く。

「傭兵とはそういうものだ。僅かな時で体力を回復させなければならんからな。眠りさえもコントロールしなければ」

オズウェルの言葉に、ヴァンガードは「はい」と素直に頷いた。

そんな親子を微笑ましく見ていたローズマリーは、リディルに目を落としてあることに気付いた。

「あら?」

首を傾げながら、フェイレイと手を繋いでいる方と反対の手を取る。

「脈が、戻ってる」

この暗闇ではっきりとは分からないが、甲板を照らす微かな明かりに照らされたリディルの顔色が、先程よりも良くなっているようだった。

「……」

フェイレイと繋がれた手。そこに視線を落とす。

「まさか、ね?」

こんなことで、体力が回復するなんて……思えない。

ただの偶然か。それとも。

──この2人の絆の強さ、だろうか。

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