Faylay~しあわせの魔法
ブラッディはそれを剣で弾き飛ばす。

上空へ飛んでいった風の刃は、船のマストの上部に直撃した。

「落ちるぞ!」

甲板に落ちてくる斬れたマストに、下にいた海賊たちが悲鳴を上げながら逃げ惑う。

「船長! 船が壊れます! ちったぁ加減してくださいよ!」

「ばぁ~か、んなこと出来るか!!」

ブラッディの放った一撃は、暗い海の上を走っていった。ドオオ、と海が割れ、遥か遠くまで深い溝が出来る。

「手加減したら、やられちまうわ!」

ブラッディは楽しそうに、笑いながら怒鳴った。

「ったく、あの人は~」

海賊たちは文句を言いながらも、船のシールド装置を作動させている。これで海にいる魔族の攻撃も防げるらしい。


「いやあ、楽しい。楽しいな!」

ブラッディは生き生きとした表情で、フェイレイに斬りかかった。それを軽く後ろに跳んでかわす。

もう一歩後退すると鉄骨から落ちる、ということを身体の全てで感じ取り、そこから剣を繰り出した。

「お前さんを見たとき、ワクワクしたんだ。久しぶりに、強敵に逢えたってな」

ブラッディはフェイレイの剣を受け止め、横に流す。そこから突いていくと、今度はフェイレイがブラッディの剣を横へ弾いた。

ブラッディは、楽しげに目を細めた。

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