Faylay~しあわせの魔法
フェイレイはしばらく、乱れた呼吸を整えながらジッとブラッディを眺めていたが、やがて剣を腰の後ろへ戻した。
「勝負がついたのなら、これで終わりだ」
「フェイレイ。俺は海賊だ。海賊の礼儀に則り、負けた者を海に還すんだ」
「嫌だ」
フェイレイはきっぱりと言った。
「俺は、海賊じゃない」
「そんな言い分が通るか」
「通すさ。俺が勝ったんだ」
ふん、と鼻を鳴らしてそう言うと、ブラッディも、周りにいた海賊たちも、虚をつかれたように黙った。
そして。
大爆笑が巻き起こった。
「ああ、船長、あんたの負けだ! 新船長の言うことを聞くしかねぇよなあ!」
「ホントだな!」
「待て待て、お前たち。ここにはここの規律ってモンがなぁ」
「今、新船長が作り直したさ!」
海賊たちはブラッディの背中や肩をバシバシ叩き、笑いあう。それはこのブラッディという船長がいなくならなくて良かったという、安堵の表情にも見えた。
徐々に明るくなっていく空と同じく、和んでいく空気に、フェイレイはほっとした。
そうしたら、気が緩んで。
グラリと後ろに傾き、勢い良く甲板の上に倒れた。
「勝負がついたのなら、これで終わりだ」
「フェイレイ。俺は海賊だ。海賊の礼儀に則り、負けた者を海に還すんだ」
「嫌だ」
フェイレイはきっぱりと言った。
「俺は、海賊じゃない」
「そんな言い分が通るか」
「通すさ。俺が勝ったんだ」
ふん、と鼻を鳴らしてそう言うと、ブラッディも、周りにいた海賊たちも、虚をつかれたように黙った。
そして。
大爆笑が巻き起こった。
「ああ、船長、あんたの負けだ! 新船長の言うことを聞くしかねぇよなあ!」
「ホントだな!」
「待て待て、お前たち。ここにはここの規律ってモンがなぁ」
「今、新船長が作り直したさ!」
海賊たちはブラッディの背中や肩をバシバシ叩き、笑いあう。それはこのブラッディという船長がいなくならなくて良かったという、安堵の表情にも見えた。
徐々に明るくなっていく空と同じく、和んでいく空気に、フェイレイはほっとした。
そうしたら、気が緩んで。
グラリと後ろに傾き、勢い良く甲板の上に倒れた。