Faylay~しあわせの魔法
「フェイレイさん!」

ヴァンガードが真っ先に駆け寄る。

フェイレイは目を閉じたまま、口を微かに開く。

「あー……ハラ、減った……目が回るー……」

「……」

確かに、墜落してからというもの、まともな食事は摂っていなかった。お腹が空くのは当たり前だが。

「脅かさないでくださいよ……」

ヴァンガードはヘナヘナと甲板に突っ伏した。

「ははははは、誰か、何か食いモン持ってきてやりな!」

「へい!」

海賊たちの何人かが、笑いながら船室へと駆けて行く。

「でも貴方、本当に酷い怪我ですよ。今治しますから」

ビアンカが森の精霊フォレイスを召喚し、傷だらけのフェイレイを治療する。

「こんな傷を負って、よく持ち堪えてくれた」

オズウェルも労いの言葉をかける。

「いえ、こんなの、大したことじゃ……ないですよ。だって俺、リディル……護らないと」

だが、さすがに疲れていた。

今すぐにでも眠れそうだ……と、ウトウトし始めたところに。

「リディアーナ! しっかりなさい!」

ローズマリーの声が耳に飛び込んできて、フェイレイは飛び起きた。


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