Faylay~しあわせの魔法
その話を詳しく聞きたい衝動に駆られるも、今はそれどころではなかった。

「リディル、しっかりしろ、リディル!」

リディルの震える白い手を握り、フェイレイは必死に呼びかける。

苦しそうに眉を寄せ、時折、何かから逃れるように身をよじる姿は、今まで見られなかった。

召喚されたフォレイスたちは、心配顔でリディルの身体を包み込むが、バチン、と見えない何かに弾き飛ばされた。

「何だ?」

フォレイスを召喚したオズウェルたちが、眉を顰める。

「何かに邪魔されています。一体、何に?」

ビアンカの困惑の声を聞きながら、フェイレイはフォレイスたちを見た。

「何がある? なんで弾き飛ばされる?」

フォレイスたちはガタガタと震えながら、フェイレイの頬にピタリと張り付く。

《こわい》

《こわい》

頬に張り付いた者も、リディルの周りを飛び回り、何とか彼女を治療しようと奮闘する者も、一様にそう呟いている。

《リディル、助けられない》

《これが、邪魔してる》

フォレイスたちは、恐る恐るリディルのお腹の辺りを飛んだ。途端に、見えない力に弾き飛ばされ、悲鳴を上げる。

それを見たフェイレイは、反射的にリディルの衣を胸元までたくし上げた。

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