Faylay~しあわせの魔法
そんなヴァンガードを、リディルは無言でジッと見下ろす。その視線に気付き、ヴァンガードは顔を上げてにこりと微笑んだ。

「貴女は綺麗でかわいいって、候補生の間でも有名でしたから」

「な、なにー!」

それに反応したのはフェイレイだった。

「リディルのかわいさは候補生にも知れ渡っているのか。候補生はノーマークだった。もっと目を光らせておかないと……」

「うむ、気をつけなければならんな」

アリアまでそんなことを言い出し、リディルは少し困ったように首を傾げた。本当にこの親子は、リディルを心配しすぎだった。


「さて、顔合わせが済んだところで、今後の予定だが……」

アリアはブライアンから書類を受け取り、ペラペラと捲くりながら話し出す。

「あ、母さん」

そこにフェイレイが手を挙げながら割って入ろうとして……。

「馬鹿者──!!」

アリアの高速回し蹴りを喰らい、再びフェイレイは壁に頭を突っ込んだ。

「ケジメをつけろと言っている!」

「ごべんなさい、支部長」

強かに打ちつけた鼻を押さえ、フェイレイは謝った。

「で、なんだ」

「うん、あのさ。面倒見るの、俺たちでいいの? もっと経験のあるパーティに入れてやった方がいいと思うんだけど。俺たち、戦い方が特殊だし」

リディルもフェイレイと同意見らしく、小さく頷いた。

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