Faylay~しあわせの魔法
「シャンテル様、ここは私が」
前に出ようとするクレイヴを、シャンテルは止めた。
「いいえ、クライヴ様。私は、もう……」
ちゃんと地面に立っているのかさえ分からなくなっていたシャンテルは、自分の命がそう長くは持たないと気付いていた。
幼い娘に手を引かれることで、なんとかここまで歩いてはきたけれど。もう、限界だったのだ。
「リディアーナ」
シャンテルはガクリと膝をつきながら、娘を抱きしめた。
そして髪をそっと優しく撫でると、ゆっくりと身体を離し、どうしたのかと戸惑いの色を浮かべるリディアーナに微笑んでみせた。
「クライヴ様、どうか、どうか、リディアーナをよろしくお願いします」
シャンテルは足を引き摺りながら、来た道を戻りだす。
「お母様!」
リディアーナが母に手を伸ばす。
クライヴはシャンテルが引き返していくのを止めるより、リディアーナが彼女に駆け寄ろうとするのを止めた。
それは、苦渋の決断だった。
「お母様! お母様!」
しきりに母を呼ぶリディアーナを抱きかかえ、シャンテルに背を向ける。
しかし、その先にも兵が待ち受けていた。クライヴはリディアーナを抱えながら、短剣を取り出した。
双方に迫る兵士たち。
そこへ、やっとサイラスが駆け付ける。
しかし……遅かったのだ。
前に出ようとするクレイヴを、シャンテルは止めた。
「いいえ、クライヴ様。私は、もう……」
ちゃんと地面に立っているのかさえ分からなくなっていたシャンテルは、自分の命がそう長くは持たないと気付いていた。
幼い娘に手を引かれることで、なんとかここまで歩いてはきたけれど。もう、限界だったのだ。
「リディアーナ」
シャンテルはガクリと膝をつきながら、娘を抱きしめた。
そして髪をそっと優しく撫でると、ゆっくりと身体を離し、どうしたのかと戸惑いの色を浮かべるリディアーナに微笑んでみせた。
「クライヴ様、どうか、どうか、リディアーナをよろしくお願いします」
シャンテルは足を引き摺りながら、来た道を戻りだす。
「お母様!」
リディアーナが母に手を伸ばす。
クライヴはシャンテルが引き返していくのを止めるより、リディアーナが彼女に駆け寄ろうとするのを止めた。
それは、苦渋の決断だった。
「お母様! お母様!」
しきりに母を呼ぶリディアーナを抱きかかえ、シャンテルに背を向ける。
しかし、その先にも兵が待ち受けていた。クライヴはリディアーナを抱えながら、短剣を取り出した。
双方に迫る兵士たち。
そこへ、やっとサイラスが駆け付ける。
しかし……遅かったのだ。