Faylay~しあわせの魔法
翌日は布団の中から出るのが躊躇われるほど、船室の中は冷え込んでいた。
丸窓から外を覗こうとすると、硝子が白く曇っていてまったく見えない。
その曇りを拭き取ろうと手のひらをあてると、窓はカチカチに凍り付いていてしまっていた。
「うわ……凄いな、凍ってる」
フェイレイはそう呟くと、ブラッディから貸してもらったダウンジャケットを羽織って甲板に上がってみた。
そして更に目を丸くする。
甲板は灰色の空からハラハラと降りてくる雪に覆われ、一面真っ白になっていた。それを海賊たちが大きなスコップで除雪している。
その雪が落ちる青かったはずの海も、ところどころ真っ白な流氷に覆われていた。
「寒い!」
一年を通して温暖な気候であるセルティア育ちのフェイレイには、経験のない寒さだった。
吐き出す息まで凍りつきそうなほどの、冷たい空気が頬を突き刺す。
「早いな、フェイレイ」
黒いマントを着こんでいるブラッディが前方から歩いてきた。
あまり厚くなさそうなマントに、フェイレイは眉を顰めた。
「おはよう。寒くないの?」
「このくらいどうってことねぇよ。オースター島周辺に比べりゃ、暖かい方さ」
「まだ寒くなるの!?」
「当たり前だろ。北極圏だぜ。太陽もほとんど出ないし、平均氷点下10度だな」
ブラッディは豪快に笑いながら、事も無げに言った。
丸窓から外を覗こうとすると、硝子が白く曇っていてまったく見えない。
その曇りを拭き取ろうと手のひらをあてると、窓はカチカチに凍り付いていてしまっていた。
「うわ……凄いな、凍ってる」
フェイレイはそう呟くと、ブラッディから貸してもらったダウンジャケットを羽織って甲板に上がってみた。
そして更に目を丸くする。
甲板は灰色の空からハラハラと降りてくる雪に覆われ、一面真っ白になっていた。それを海賊たちが大きなスコップで除雪している。
その雪が落ちる青かったはずの海も、ところどころ真っ白な流氷に覆われていた。
「寒い!」
一年を通して温暖な気候であるセルティア育ちのフェイレイには、経験のない寒さだった。
吐き出す息まで凍りつきそうなほどの、冷たい空気が頬を突き刺す。
「早いな、フェイレイ」
黒いマントを着こんでいるブラッディが前方から歩いてきた。
あまり厚くなさそうなマントに、フェイレイは眉を顰めた。
「おはよう。寒くないの?」
「このくらいどうってことねぇよ。オースター島周辺に比べりゃ、暖かい方さ」
「まだ寒くなるの!?」
「当たり前だろ。北極圏だぜ。太陽もほとんど出ないし、平均氷点下10度だな」
ブラッディは豪快に笑いながら、事も無げに言った。