Faylay~しあわせの魔法
雪明りの方が眩しいくらいの、頼りなげな灯りの燈る家がいくつか並ぶ、小さな集落。

その一番端の小屋に、パーティは招かれた。

「君たちも一緒だったのか」

オズウェルとビアンカを見て、ランスは青い瞳を輝かせた。

10年前にセルティアギルドで出会い、リディルの秘密を共有してきた者同士には、そのときから友情のようなものが芽生えていた。決してそれを表に出すことはなかったけれど。

だからこうして、無事に再会出来たことが本当に喜ばしかったのだ。

「君の息子さんに助けられた」

軽く抱擁を交わしあいながら、オズウェルが事の顛末を掻い摘んで説明した。

「そうか……。しかし、無事で良かった」

オズウェルとビアンカの背中を叩き、ランスは微笑む。

それから全員にコートを脱いでもらい、狭いけれども、暖炉の火に十分に温められた絨毯の上に座って休んでもらった。

「ここはオーロラに魅せられた人たちの住む村だよ。とても普通の人が住める環境ではないからね」

温かいミルクを注いだカップを手渡しながら、ランスは説明した。

「食料などはどうしていますの?」

ローズマリーが素朴な疑問を口にする。

「夏の間に保存食を作るんだ。肉なんかは冷凍にしてね。外に放り出しておけば固まってしまうよ。あとは、そこに湖が見えるだろう? そこから魚を釣る」

言われて窓から外を眺めてみたが、一面真っ白なので、どこから陸でどこから湖なのかまったく分からなかった。
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