Faylay~しあわせの魔法
でもきっと、今そのことを伝えるのはフェアじゃない。

この状況で言ったら、彼らは自分たちの意思より、親たちの意思を尊重するだろう。

「そうだよね、アリア」

本人たちのペースに任せ、時を待つのがいいだろう。

そうして、そのときが来たら盛大に祝ってやろうと心に誓う。


だから必ずここへ。

自分たちのもとへ、帰ってくるんだよ。


ランスは穏やかな笑みで左手に光る銀の結婚指輪を撫で、子供たちを見下ろす。







動物も、草木も、すべての生き物が眠りについている、音のない静かな早朝。

フェイレイの通信機が、ビーッ、ビーッと、けたたましく鳴り響いた。

フェイレイ、そしてリディルとランスも飛び起きる。

隣の部屋からはローズマリーも飛び出し、上からはエインズワース親子が駆け下りてきた。

「船長だ」

暗号解読に時間がかかっていると、ヴァンガードに通信機をひったくられた。

彼は顔をサッと青ざめさせた。そして切羽詰った様子で顔を上げた。

「星府軍の戦艦が一艘、こちらに向かっています」

静かな朝が終わりを告げた。



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