Faylay~しあわせの魔法
素早く装備を整え外に飛び出したフェイレイたちは、オーロラを突き破るようにしてやってくる巨大戦艦を目にする。
戦艦はこの島を丸々覆ってしまうほどの大きさだ。逃げ切るのは容易ではない。
「フェイ、母さんのルートだ。いいね!?」
「分かってる」
リディルの手を引き、フェイレイは返事をしながら走る。しかし凍りかけた雪道の上は、思うようには走れない。足がもつれる。
「私たちが囮になる。リディル様は熱探知対策に、アランを召喚してパーティを包んでください」
オズウェルの言葉に、リディルは肩越しに振り返り、頷く。
「ヴァンガード」
ビアンカはヴァンガードをギュッと抱きしめると、彼の肩に手を置き、力強い瞳で言った。
「貴方は私たちの誇り高き息子。きっと使命を全うできると信じています。しっかりリディル様をお護りするのですよ」
「はい、母上」
ヴァンガードもビアンカを見つめ、しっかり頷く。
短いやり取りの後、オズウェル、ビアンカはフェイレイたちとは反対方向へと走り出した。
「父さんはここの住人たちを護らなきゃならない。フェイ、しっかりな!」
「父さん、気をつけて!」
フェイレイは全速力でリディルを引っ張って走る。
それについていくローズマリー、そしてヴァンガード。