Faylay~しあわせの魔法
(無意識だ)

リディルはそう理解した。

(天然がきた)

時々くるのだ。

何の魂胆も悪びれも無く、すとーんと思ったことをそのまま口に出されるときが。そういうときは、フェイレイは一切照れない。

自分の意志で何かを伝えようとする時は、かわいそうなくらい真っ赤になるくせに。

「どんな恰好でも、リディルはかわいいよな」

にこにこと、ストレートにそう言われると。

「あれ? リディル、熱でもある? 顔赤い」

「……大丈夫」

いつもは無表情なはずのリディルが、赤くなる。

フェイレイは心配して額に手をやったり、顔を覗き込んだりするけれど、リディルには邪険に扱われる。

そんな様子を後ろから見ているローズマリーは、クスクスと笑う。

「あらあら……フェイレイくんって、鈍感なのね」

「馬鹿で鈍感なんですよ」

ヴァンガードはつーんと澄ましてそう言った。

「まあ、手厳しい」

そう言いながら、ローズマリーは目を細める。

「何だか……昔を思い出しますわ」

「え?」

ヴァンガードが見上げると、ローズマリーの目はどこか遠くを見ていて、哀愁を帯びていた。


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